人件費を考える
サラリーマンと経営者との間には深くて暗い河がある。
それでも分かり合おうとして話をする。
立場によって人件費に対する考え方はずいぶん違う。ある程度は仕方のないものだと思えるが、本質は一つしかないのだ。「みんなお金がほしい」声を大にして叫びたいのだけどほとんどの人は声を出さない。正当な分配を、とか○○手当が欲しいとか、間接的な表現で主張するに留まる。自信がないからだろう。ひとりで確実に1千万稼げる自信があれば800万円を主張しても会社は文句はないだろう。それどころかとてもありがたい社員ともろ手を挙げて歓迎するに決まっている。1千万稼ぐ能力はあっても、実際に稼いだことがない多くの人は自分の価値を少なく見積もってしまう。もしくは自らの基準で仕事のパフォーマンスを調整する暴挙にでる。それはそういう人たちが簡単に起業しないことからもわかってしまう。そこに歪が生まれる。サラリーマンは責任やリスクを自分以外の誰か(=会社)に負ってもらうけど、稼いだ分だけお金が欲しいのだ。できれば楽してお金が欲しいのだ。それ自体は悪いことではない。むしろ推奨する。
よく、自分の収入を手取り額でしか考えない人がいる。搾取される典型的なタイプだ。会社と国家の二重搾取だ。給料明細書はいわば月単位の決算書だ。数字を分析しないのは多くの情報に対して思考停止しているのと同義だろう。決算書を見て自分はどのような行動を起こすべきなのか考えないと希望が叶えられるはずもない。
会社のことを法人と呼んだりする。会社そのものを法律上の人格とみなすことからこの言葉がある。会社≠社長なのだ。だから社長も法人(=会社)から報酬という形で収入を得る。社長が利益を好き勝手に手にする事はできないようになっている。もちろん会社員も法人から給料がでる。説明過多になるが法人は株主と経営者と社員からなる。経済活動をおこない得た利益はこの3領域で分割分配される。普通の場合分配率を決めるのは経営陣になる。経営陣の最も重要な職務は法人の永続性の確保である。これを全うできるのなら社員への分配をいくら上げても問題ないのだ。しかし少しでも視野狭窄すると法人の内部留保が不十分となったり経営者の経営判断を誤らせたりすることになる。結局、バランスのとれた分配がなされることになる。
個人と経営者の人件費に対する価値観のズレや歪みが無限ループで誤解を生み意見の隔たりを生む。だれも渡れぬ河なれど、エンヤコラ今夜も船をだす。
この思考の格差をなくすためには、小さくてもいいから自分で事業を経営する事だと思います。そうしたらきっとサラリーマンなんて馬鹿らしくてやってられないと思うはずです(笑)