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書評 「老後の資金がありません」

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天海祐希主演の映画「老後の資金がありません」が2020年9月に公開されます。まさに僕の事だと、速攻で原作を捜し、amazonでポチッた。このところ、Kindle形式での購入ばかりです。それにはいくつかの理由がありますが、それはまた、別の機会に書きたいと思います。

 

僕もまだ老後資金を貯めていない。住宅ローンも残っているし、事業での借入金も当然のように数千万ある。主人公の家庭のほうがまだマシではないか。そんな思いで読み始めた。内容はネタバレが無いように書かないこととするが、どこでもあるような家庭が物語の舞台となっている。このような小説では共感が大事です。設定としては鉄板でしょう。だけど、これで大まかなストーリーがなんとなく解ってしまう。最後は明るく前向きで、ホンワカなムードになって、終了する。いつものホームドラマの定番です。

 

僕が、おもしろいと感じたのは、登人物のキャラ設定やその心理描写だった。特に、自分や家族や友達などと関わる中で、揺れ動いていく気持ちの描写は丁寧で、引き込まれた。A地点からB地点へ、まっすぐ動いていくのではなく、右に行ったり左に行ったり、時にはバックしたりして少しづつB地点付近へと近づいていく様子が、主人公の心理描写を用いて表現されている。

 

自分の事は自分が一番わかっているつもりの人は多いと思う。僕も、もしかしたらそうかも知れない。一種の自己暗示を自分自身にかけて、安心している。でも、暗示の根拠はとても薄っぺらい。何かのきっかけで、いともたやすく解け崩れるに違いない。今ある貯金や仕事は、ありがたいけど、そう大きな安心ではないことを、この物語は教えてくれる。

 

物語を通して作者が、人間の活動を俯瞰してみている様子がうかがえた。生きるために日々ジタバタしている自分たちを、どこか面白がって、愛おしむ。これも、愛情か?と思う。ケセラセラと漂うように生きることができたら、そんな人生も楽しいだろうなと感じる。どこか冷めた感情が、僕の中に生まれた。

 

 

老後の資金がありません

著者:垣谷 美雨

発行所:中央公論新社