薬剤耐性菌で死亡8100人
https://www.sankei.com/life/news/191205/lif1912050020-n1.html
抗生物質の使い過ぎが原因と思われる薬剤耐性菌によって年間8100人以上が死亡したと推計される。
抗生物質とは「微生物が産生し、ほかの微生物の発育を阻害する物質」と定義される。広義には、「微生物が産生」したものを化学修飾したり人工的に合成された抗菌剤、腫瘍細胞のような「ほかの微生物」以外の細胞の増殖や機能を阻害する物質を含めることもある。通俗的に抗ウイルス薬と混同されることもあるが誤りである。 ウィキペディアより
僕がまだ老人病院に勤務していた頃だから、17年以上前になりますが、MRSAという薬剤耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が大きな話題になりました。それまでは抗生物質さえ投与していれば細菌の脅威は大きくなかったように記憶しています。MASAは病院の中で感染し、いわゆる院内感染としてテレビのニュースなど大きく取り上げられました。対策チームが組まれ、MRSAを退治するために超酸性水とか(笑)導入したり、保菌者を隔離したり、もう大騒ぎでした。しかし、MASAは新しい抗生物質で減りはしましたが、根絶はできず、今も脅威のままです。
結局、イタチごっこだ。と当時の院長は話していました。抗生物質に抵抗(効かない)性がある細菌は新しく開発された抗生物質で一旦は治療できますが、その新しい抗生物質に耐性(効かない)がある細菌を作り出してしまうのです。それでまた新しい抗生物質の開発をする。99%の細菌が死滅しても、1%とか0.1%でも死なない菌があれば、それが増殖してしまう。まるで細菌に対して予防接種をして、どんどん耐性菌を強くしているようにも感じます。壮絶な命のせめぎあいが行われているのです。
8100人が亡くなったとの事で、重大に受け止めなければなりません。ただ、薬剤耐性菌はこれからもなくなる事はないと思います。そもそも黄色ブドウ球菌などは、僕たちが生活している環境には、どこにでもたくさんいる常在菌です。これを地球上から根絶させることなど不可能なのです。なるべく薬に頼らず自己免疫力を強くすることが僕たちが取れる対抗策ではないでしょうか。
これもずいぶん前に、mixiの子育てカテゴリの中で、子供が保育園で風邪をもらってくるので対策ないですか?という質問がありました。僕は、子供はそうやって免疫力を高めていくものなので、あまり気にしないでと回答しました。盛大に叩かれました。その書き込みには、反省したのですが、感染症に対する基本的な姿勢は変わっていません。細菌に対する抵抗力をつける事が第一です。その上で細菌にできるだけ近づかない。接触機会を減らす事が必要だと思います。
最近は、潔癖症が一つのステータスのように扱われる場面を目にします。どんなに除菌しても細菌は身体の中に入ってきます。それも叩かれ続けて強靭になった細菌です。無菌室のような環境で育った人間とではどちらが強いでしょうね。