ボクの定年

還暦オーバー!今日もチャレンジ!

幸せな会社のかたち

もの凄いレベルの零細企業を運営しています。会社を作る時ボクが望んだものは、自分たちが食べていける報酬と自分の子供が大学を卒業するまでの学費が払えること。それと精神の自由。

ボクと妻とパートさんの3人で始めました。ボクと妻の給料は一人10万円ずつ。パートさんの給料は14万円でした。目標がとても小さかったので変に肩肘張らず16年も続けることができています。感謝です。いろんな辛いこともありましたが、ボク自身は本当に面白かったと感じています。

40年前、ボクは新卒で就職した食品会社で営業企画部に配属されました。大変だったけど勉強にもなりました。会社の仕組みを学ぶことができた。事業が生まれて消滅するまでを観察することもできた。頑張りすぎるとドンドン辛くなる現実を目のあたりにした。規模を拡大してもそれ自体が幸せに直結することはない。社長と社員とお客さんと地域がうまい具合に三方良し(四方良し?)にならないと安らぎは生まれないのです。

わが社にもその瞬間はありました。最初の5年程。でも社員が増えたり、競争が激しくなったりして、つい頑張ってしまいました。もう少し余裕を、もう少し社会に貢献を、もう少し安心を。頑張ればそれなりの成果を得ることはできました。でもボクが欲しかったのはそんな高尚な事ではなく、子供に教育の機会を与えることと、食べることに困らないだけのお金の自由だったのです。ちっぽけなマイクロ企業で構わなかったのです。思い返すとスタッフ3~4名で利用者が10名前後くらいの時が一番笑っている時間が長かったようです。幸せな会社は難しい。

子供は独立するから、親としてのゴールが存在する。ところが会社はきりがない。どこまで行っても頑張るしかない。早く成長させようとして借金する。無理しても売り上げを確保する。頑張った人へのポストを用意するために事業を拡大する。また借金が増える。この繰り返し。ボクは当初の目標を達成したのでこのループから離脱しようとしています。だけど会社は続けるしかない。

もしも売り上げを減らしてもみんなが幸せでいられる仕組みがあったらどんなに楽だろう。昨日、次期社長候補に稼働率60%でも持続可能な会社を目指したらどうか?と相談しました。一笑に付されました。もう少しの余裕と、もう少しの社会貢献と、もう少しの安心を捨てるだけなのに。そんな事は出来ないと言われました。無理はありません。彼の中では頑張ることが正義なのだから。