ボクの定年

還暦オーバー!今日もチャレンジ!

最後の悪手

ボーナスは旧盆の前に支給することが慣例になっている。資金繰りというやつだ。新コロのせいで3月と4月の売り上げが振るわず月間赤字は3ケタとなった。そもそも少ないボーナスだが、例年通りの額で支給するとどう考えても資金ショートする。今年の夏は特別な夏なのである。

幹部会を開いて協議して、例年の50%ということになった。住宅ローンなどある家庭では結構キツイ決定だ。金融機関からの借入も考えた。だけど借りた金は返さないといけない。新コロの脅威がいつまで続くか分からないのでリスクはなるべく取りたくない。あと4年で引退する身でもあり、後輩に苦労をかけたくないのだ。だからボーナス50%減が最適な結論に見えた。でも、一般社員はどうだろう?自分たちにはまるっきり非がないのにボーナスが半分になる事を受け止めきれるだろうか?東京女子医大のように義憤を感じてもおかしくない。その時は説明はするが弁明などしないと決めた。経営努力と経営能力が足りていない結果だろう。

ここまでは、この決定がもたらす結果に対して納得している。問題は次の一手。ボク個人の通帳から全社員に「慰労金」を支給するように、経理担当の妻に伝えたことだ。全社員と言ってもたかだか15名ほど、慰労金の総額も35万円程度のしみったれた金額ではある。しかしこれは悪手だろう。社員が置かれている状況をこれっぽっちのお金で納得させようとするのは傲慢である。個人のお金であることは恩着せがましいありがた迷惑でもあり、偽善のそしりを受けるに値する。それが分かっていたにも関わらず、ボクは今回も間違った。

会社役員は年間報酬制である。年度初めに自らの報酬を決め、変更するのは難しい。ボクの場合はボーナスは最初からゼロ円にしている。だから社員は減収になってもボクは減収にならない。この事だけが喉につっかえた魚の骨みたいにボクの安眠を妨げた。もう評価されるとか今後の皆の動機付けなど関係ない。ただ、痛みを共にしたかった。それでどうにか連帯感という絆を感じることができると思うのだ。まったくの悪手である。そしてキャリアから考えると最後の悪手である。

本当はホンダのクロスカブが欲しかった。堤防に魚釣りに行ったり、風景写真を撮るための日帰りツーリングをしたかった。新コロのバカ野郎め♪♪