ボクの定年

還暦オーバー!今日もチャレンジ!

老いたウエルテルの悩み

老いは残酷である。

朽ちていく生命を客観的に眺める立場にいたものが、自分事として老いを体験することになった。当然で自然なことである。自分もいつか動けなくなって死ぬ。それが徐々に進行するか突然終わるかはわからない。ただ、刻一刻と死に向かって進んでいることは間違いない。そんなに悲観はしていない。だって誰にでも訪れるイベントだから。その時が来たら「ああ、面白かったな」とつぶやいて目を閉じればいい。まあこんなこと言っていいても間際で生にしがみつくかも知れない。それはその時次第だ。残酷なのは今も少しずつ老いが進行していることだ。

身体の衰えはまだ納得できる。30代から少しずつ低下してきた経験がある。対処方法も知っている。だけど、精神と神経(特に脳)機能の低下はつらい。自分の変化に納得がいかないからだ。作業が遅くなる。モチベーションを上げられない。興味が薄れる。記憶を保持するのが難しい。思い通りに身体を動かせない(神経の伝達速度が低下する)。すぐに疲れる。他多数。

良いこともある。プレッシャーがなくなる。統合思考ができる。がむしゃらに働いていた若い頃には憧れた余裕のある時間は増える。欲が無くなる。・・・・それって良いことなのか?

入社1年目の新入社員と30年目の専務取締役とでは生産性は圧倒的に専務が上だが作業効率は新入社員に軍配が上がる。手と脳が速く動かないからだ。さらに膨大な経験があるために判断の選択肢が10倍ほど多い。よってはたから見ればぼんやりしている時が増えるってこと。働かないジジイにしか見えない。齢を取った本人にしてみれば、結構まじめにタスクをこなしているのだ。

まだ60歳なのに最近車の運転に自信が持てなくなっている。安全確認だけで疲労する。道を間違えたり目的地を通り過ごしたりする。ドライブレンジにギアを入れたままサイドブレーキをかけて車から離れようとしたり、逆にサイドブレーキをかけたまま発進したり。情けないというより少し怖い。そんなミスは今までになかったことだ。たった1時間の運転でクタクタだ。

ボクにとって老いは現在進行中の大イベントだ。若きウエルテルも悩むだろうが、年老いたウエルテルもまた同様に悩む。ステージは違うが同じ道のりの中のイベントだ。勇気をもってステージの扉を開けることにする。

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