4時間で辞めてしまったあの娘
くわしく覚えていない、多分10年くらい前の話です。
おかげさまで経営しているデイサービスのご利用者が増えていました。
当時は定員が10名の小さなデイサービスだったので、すぐに正社員を雇える財力はありませんでした。
それでアルバイトの募集をさせて頂きました。
いつも地域で一番の時給を出していたので、その時も5名ほどは応募があったと思います。
40代の主婦に混じって21歳の若い娘が応募していました。
ハッキリ言って美人でした。背が高く8頭身で長い髪が印象的でした。
面接をすると、意外にしっかりしていて仕事に対するモチベーションも高いと感じられました。
二人の採用枠のなかの一人となりました。
当時は社長のボクだけが男性であとはみんな女性職員でした。妻も含めてです。
面接時から明かに異様な雰囲気は感じていましたが、そこは仕事なのですから上手くやってくれるだろうと思っていました。
既存の女性社員の大人の対応を期待していたと思います。
勤務初日、ボクの期待はあっさり裏切られます。妻を筆頭に新人を見る目が怖い。冷たい視線を感じました。
普通は就業規則の説明とかオリエンテーションを行うのですが、その時は女性軍からいきなり現場の指導を提案されて彼女は風呂場に連れて行かれました。
その時点でボクは彼女を諦めました。
指導する先輩の冷たい笑顔がすべてを物語っています。
間が悪いことに、彼女の入浴介助時の出で立ちが結構セクシーだったのです。
スラリと伸びた長い脚はおばさんが逆立ちしたって敵わないみごとな短パンすがたでした。今も目に焼き付いています。
あぁこんな娘に介助される爺さんはどんなに幸せだろうと思いながら、明日はもう出社しないだろうという予感が心を占めていました。
昼休みに、やっぱり無理ですという言葉を残して彼女は去って行きました。
サービス事業はなるべくいろんな世代の人員を揃えて、利用者の心情を豊かにしたいと考えていたボクの計画は誰にも相談することなくボクの心の中で消えて行きました。
蝋燭の火がふっと消える様に。
どう見てもボクにすけべ心があって、鼻の下を伸ばしている様にしか見えていなかったでしょう。大変失礼な誤解です。
ただ、あの時の女性軍にいくら真面目に若い彼女が必要な理由を話しても、虚しく空に溶けていくだけです。
いや、ボクに勇気がなかったのでしょう。説得のエネルギーを大幅に超えた圧力を感じていました。
戦うことなく諦めたのです。
正義とか真理とか理想とか論じていい時とそうでない時があるようです。
あの時の彼女には申し訳なかったと思うだけです。もう一度綺麗なあの脚。。。
ああ、ゴルフの自粛はまだ続くのか、議論も憚られるのでしょうね。