親の介護 ~ 住居
親と離れて生活をしている人が多くいらっしゃると思います。故郷の両親は元気にしているか、心配も多いと思います。ボクは、逆に田舎で他人様の親御さんの生活支援を行っています。僕にわかる範囲で、住まいの問題と解決の糸口をお示しできたら、幸いです。
日本では、木造家屋が一般的です。高温多湿の気候には合っているかと思いますが、高齢者にとっては、あまり適しているとはいえません。
1つ目は、断熱性です。特に冬季はすきまができやすく、居間は暖房が効いていても、トイレや脱衣所は寒い住宅が多いようです。急激な温度変化は、ヒートショックといった脳や心臓の血管障害を引き起こしやすくなります。
2つ目は、床等に段差が多くなる事。先日、当ブログでもご紹介したとおり、1~2cmほどの小さな段差が、転倒に結びつくことが多いのです。洋間と日本間の間には、おそらくそのような段差があるはずです。また、玄関も転倒が多く起こる場所です。床下の湿気対策として上り框(あがりかまち)が30cmくらいあります。登る時よりも降りる時のほうが事故は起こりやすいでしょう。
3つ目は、一般的に廊下やトイレや浴室が狭い事です。もし、車椅子を使う場合、使用する車椅子の種類にもよりますが、最低でも78cm、自走式(自分で漕ぐ)であれば1m必要になります。トイレは狭いほうが転倒の危険性が低下する事もありますが、介助が必要になった場合は、狭すぎて使えない場合が多いです。浴室も滑りやすく転倒の多発ポイントです。特に浴槽にまたいで入る時と出る時がバランスを崩しやすくなります。
その他として、間取りの問題があります。2階にあがる階段が急すぎたり、日当たりのいい部屋を客間と称して、ほとんど使っていないばかりか、1番使用頻度が高い居間が日当たりが悪かったりします。寝室はベッドなのか蒲団なのかもおおきな意味を持っています。また、寝室からトイレまでの距離は、睡眠確保の重要な要素になります。
対策です。
1、冬の寒さ対策として、トイレと脱衣所には小型の暖房機器を用意しましょう。今はスリムですぐに暖かくなる電気暖房機があります。
2、小さな段差はDIYで解消できる場合が多いと思います。使用するスリッパはつま先が少し上向いた物にすれば、転倒の可能性も少なくなります。玄関は手すりを付けるか、必ず座って靴を履くようにお願いする事です。
3、もし、車椅子が必要になった場合、現実的には廊下の幅を広げるなんてできません。ただ、自分の実家が車椅子には対応できない事を知っていることが大事でしょう。また、手すりを検討する場合、専門家でないと取り付け強度を見極めることが難しいでしょう。トイレも浴室も改造するとなるとかなり大きな出費になります。介護保険の住宅改修費が20万円(利用者負担1~3割)ありますので、利用しない手はありません。浴室の椅子を浴槽の縁の高さに合わせると、とても安定して浴槽への出入りができますので、一度試してください。
離れて住む親の事は、心配だけど何にもできないと思っている人が多いですが、お正月やお盆に帰った時に、1つでも対策してあげたら、親さんも自分も安心できますよ。
それでは、また明日。