親の介護 ~ 転ばぬ先のチエ
人間は転びます。2本足で歩いているんですから、転ぶこともありますよね。ただ、60歳を過ぎたら、そろそろ転んでけがをする危険度が増してきていると思ったほうが良いです。ボクは若い時から地域の公民館活動で「転倒予防教室」なんてものをやっていました。住民の皆さんに「気を付けてくださいね」と呼びかけていましたが、今は自分に言い聞かせます。コケないためのうんちくです。
人が転ぶのには、大まかに3つの問題があります。
① 体力の問題
最近、つまずきやすくなった。歩くスピードが遅くなった。長い距離を歩けない。タオルを強く絞れない。など、あてはまる事があれば、注意が必要です
② 病気の問題
めまい・フラツキがある。背中が丸くなってきた。膝が痛む。目が見えにくい。耳が聴こえにくい。物忘れがある。内服薬を5種類以上飲んでいる。など、一つでもあれば対策しましょう。
③ 環境の問題
家の中が暗い。家のお中に物が多く置いてある。家の中に段差がある。階段を使う。コタツがある。などが問題になります。
このような問題が、複合的に作用して転ぶことが多くなります。
例えば、つまずきやすい人は足のすねの部分の筋肉が弱くなっている可能性が高いです。そこに家の中が暗くて5cm以下の段差があり、さらに視力が低下している状況が揃えば、かなりの確率で転びます。
また、いつも5種類以上の薬を飲んでいる人は、その中に、転びやすくなる作用があるものが入っている可能性が高いです。血圧の薬、睡眠薬、めまいの薬、パーキンソンの薬、などがそうです。
タオルを強く絞れないとか握力が弱くてペットボトルのキャップを外せないなどであれば、全身の筋力が弱っています。ただ単に筋力トレーニングするだけでなく、栄養方面からも対策が必要になってきていますので、専門家に相談したほうが良いでしょう。
ボクの母親は、線路の横の道を歩いているときに、後ろから来た電車の音にびっくりしてコケたことがあります。電車が近づいてくるかすかな音が聴こえなくて、真横にきてから気づいたそうです。そりゃびっくりするでしょう。
ボクたちが、口をすっぱく話をしても、なかなか転ぶ人は減りません。それは、3つの問題は少しづつ「問題」になってくるからです。急に目が見えなくなったら、充分気を付けるでしょうが、少しづつ視力が衰えます。また、筋力もそうです。長年不自由なく暮らしてきた家の小さな段差は「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」という非論理的な考えを持ってしまうでしょう。
せめて、体力・病気・環境の面で若い時より、危険度が増しているという自覚だけでもお願いしたいです。
それでは、また明日。