書評 「60才からの手ぶら人生」 弘兼憲史
私は弘兼さんの漫画が好きで「ハローハリネズミ」あたりから「黄昏流星群」まで読ませていただいている。
人間味があってドラマをつくるのが上手い漫画家さんだなと思っている。
久しぶりに本屋でブラブラしている時に目に留まり、つい買ってしまった。
中身はどこかの雑誌に連載されたエッセイをまとめた風で、とりわけ面白くもなかったが、弘兼さんの等身大の生活が垣間見られたようで一段と彼のファンになってしまった。
見栄やこだわりを捨てて身軽になろう。という趣旨なのだが、一般の人がどうしても不安に思うお金のこととか友達のことなどあっさりとした意見が述べられている。
ベストセラー作家だったら何度整理しても安定した収入と質のいいお友達に困る事は無いだろう。一般人は万一長生きでもした時の経済的困窮に恐れおののき、そんなに親しいとは思っていない友人も無下に切る事ができず、愛想笑いをしながら付き合い続けているものだ。
まあ、でもそれは彼的には無駄な努力で、もしも大変な状況になったとしてもそれはまた人生の楽しさだと言ってしまえる余裕があるのでしょう。
なにか妬みっぽい文章になりましたが、共感した部分のほうが多かった。
生命保険やお墓や葬式なんていらない。延命治療などは廃止すべきとの意見は全く同意。
死ぬことを客観視すればくだらないことが多い。そんなことに気をもむなんてばからしい。
60歳を過ぎたら介護ボランティアを義務化したらいいなんて無責任な意見のありましたが、私がとやかく言う事ではないでしょう。
重い荷物をなるべく軽くして飄々と風に吹かれながら歩いて行ける人生にとてもあこがれながら読ませていただきました。